pen最新号にて直木賞受賞作家の小川哲さんが人とのかかわりについてエッセイを書いていて、印象に残ったことをメモしておこうと思います。
小説家ということでアウトプットである小説の読者の反応を積極的に確認する作家さん、確認しない作家がいる。小川さんは前者のようで、反応の中にはポジティブなものもあれば当然ネガティブなものもある。
そういった中で自分の作品だけでなく、作品群、コンテンツ全体をどう認識しているかというと次の通り。
もし仮に人類全員に気に入られるようとして書かれた小説があったとしたら、そんな小説は嫌いだ。僕が好きな小説は、僕のもっていた思い込みや価値観をゆるがしてくれる―つまり、ある意味で僕を”傷つけてくれる”ような作品だ。
その先は引用の考えの延長線として、苦手な人との付き合い方や距離感に言及している。
自分が好きな小説というのは、ジャンルとしては推理小説が多いように受け止めており作家買いをすることもありトリックというより書く文章に好みの重心が寄っている。
例えば連城三紀彦さんは人と人とのやり取りの描写に人の体温というか湿っぽさを感じられて特に好きで、河野裕さんは澄み切っている人間の感情の描写能力が優れているので好きな作家にあげられる。
ただ文章力に好み全振りかというと違っていて、粗削り感では真木武志さんの「ヴィーナスの命題」や土橋真二郎さんの「扉の外」は深い謎に引き込まれる感じがとても好きです。
好きな作品も、嫌いな作品も言葉にしていきたいですね